研究室紹介

教授略歴

リジャル ホム・バハドゥル (Rijal Hom Bahadur)
博士(工学)[京都大学2004]

京都大学・Oxford Brookes大学・東京大学 研究員、
東京都市大学講師・准教授を経て、2017年4月より現職

担当科目
建築気候学、適応的快適論、環境フィールド・計測演習、環境創生入門、事例研究・原書講読、卒業研究、環境適応論

研究の内容

~気候風土に適合した建築・都市環境計画~




 私達は、持続可能な建築・都市環境を作る必要があります。どうすれば実際に快適でエネルギー消費の少ない建物を建設できるのか。各地の気候風土に適した建築物を建てて環境負荷を減らすためには、どの様な工夫が必要なのか。私達自身が温暖化にどのように適応し行動すれば快適感を達成することができるのか。これらの解決への糸口は、気候風土に適合した伝統的建築・都市環境にヒントがあるのではないかと考えます。
 私達の研究室では、これらの問題意識を持って、国内外の伝統的建築・都市の温熱環境の評価と改善、居住者の熱的快適性の解明、窓開閉などの適応的行動の分析とエネルギー消費の検討などに関する研究を行っています。

社会との接点

~新たな伝統的建築の提案・国際的な研究活動~


     

 伝統的建築に関する研究は、現代においても住むことが可能な新たな伝統的建築の提案、近代建築計画への技術応用に役立ちます。また、人々の快適性を解明することで、各地域に適した快適温度を提案できます。さらに、都市環境に関する研究はヒートアイランドの緩和に役立ちます。
 これらの研究は、エネルギーや環境負荷の少ない自然環境に共生した持続可能な社会の実現に貢献できます。国内外の大学や企業の研究者と共同研究を行い、それを通して人材交流も行っています。研究成果を学外に発信するために国内外の学会で論文発表しています。
 このような挑戦は、教育や研究のみならず政策を活性化させ、社会に大きく貢献します。

研究室の横顔

~3年生が研究者として学会デビュー~

 研究室の強みは現場研究であり、建築内外の実測・申告・観察などを行います。研究室では全員で知恵を絞り、世界に通用する研究内容を目指しています。各研究分野で確実な基準やモデルをつくりあげるために、一貫したテーマで研究しています。研究成果が広く応用され、また基準作成ができるように、科学的な視点に基づいた基礎研究やモデル化に重点を置いて研究を行っています。
 その第一歩として、3 年生が居住環境を研究し、日本建築学会で論文発表しています。
 この研究実績は、就職活動・卒業研究・大学院進学に非常に役立ちます。

~研究室の主なテーマ~


1.建築環境


・ 伝統的建築の温熱環境の評価と改善
・ 近代建築の温熱環境に関する研究

 
ネパールの建築環境調査

今まで行った主な研究

1. 住宅の温熱環境:ネパールの亜熱帯から寒帯にある6つの地域の伝統的住宅を取り上げ、夏と冬の住宅の温熱環境(温度、湿度、風速など)の実測を行い、住宅の内外温度差、上下温度差などを明らかにしました。
2. 住宅の改善予測:ネパールの伝統的住宅のシミュレーションを行い、開口部の気密化や屋根の断化などによる室温の改善効果を予測しました。また、既存の住宅の床、壁、窓、屋根などを実際に改善しました。
3. 住宅の薪消費量:ネパールの6つの地域の伝統的住宅を取り上げ、夏と冬の住宅の薪消費量の実測を行い、暖房や調理に必要な薪消費量の地域差や季節差を明らかにしました。
4. 住宅の空気汚染の改善:ネパールの山岳地帯の伝統的住宅の空気環境(CO、CO2、NO2、粉塵など)の実測を行い、薪燃焼による室内空気汚染が基準値より高いことを明らかにしました。空気汚染の改善や薪の消費量を削減するために改善ストーブ(煙突付)を提案し、43軒に実際に設置しました。

2.熱的快適性


・ 人々の快適温度に関する研究
・ 高温多湿気候における適応モデルの開発

 
今まで行った主な研究

1. 居住者の熱的快適感:ネパールの6つの地域の伝統的住宅を取り上げ、夏と冬の居住者の熱的主観申告調査を行い、快適温度の地域差や季節差を明らかにしました。
2. イギリスのオフィスビルの熱的快適感:英国の空調しているオフィスビルにおける人々の熱的快適感の調査を行い、人々の快適温度、作業効率などを明らかにしました。
3. イギリスの環境共生実験住宅の快適感:住宅の温湿度や快適感調査を行い、住宅の熱的性能(暑さ寒さ)、居住者の快適温度の季節差などを明らかにしました。
4. 暑熱環境の快適感:夏の暑い環境を想定して人工気候室で被験者実験を行い、被験者の体内温度、皮膚温度、発汗量、快適温度などを明らかにしました。

3.環境調節行動


・ 窓開閉と通風に関する研究
・ 冷暖房利用とエネルギー消費に関する研究

 
今まで行った主な研究

1.    窓開閉とエネルギー消費の分析:ヨーロッパの5つの国(イギリス、ギリシャ、スウェーデン、フランス、ポルトガル)とパキスタンのオフィスビルの実測データを分析し、窓開閉とエネルギー消費の関係を分析しました。
 2.  オフィスビルの適応的行動:ヨーロッパの5つの国とパキスタンのオフィスビルで実測した適応的行動を分析し、居住者の窓開閉、ファンや冷暖房の利用などを明らかにしました。

4.都市環境


・ 路地の温熱環境の評価と改善
・ 大規模緑地のヒートアイランド緩和効果の検討

 
今まで行った主な研究

1. 街路の温熱環境評価:京都の路地、小路と大路の温熱環境と快適感調査を行い、伝統的路地の温熱環境が良いことを明らかにしました。
2. 実街区の風環境評価:実際にある街区の流体シミュレーションを行い、街区の表面温度、気温、風速分布などを明らかにしました。
3. 大規模緑地のヒートアイランド緩和効果:東京青山地区にある大規模緑地の流体シミュレーションを行い、大規模緑地の周辺の街区の気温は緑地が無い街区より約1.5℃低く、大規模緑地がヒートアイランド緩和効果に有効的であることを明らかにしました。
4. バングラデシュの屋外温熱・空気環境の評価:屋外温熱・空気環境の実測とシミュレーションを行い、気温、風速、汚染分布などを明らかにしました。