研究目標

自然のポテンシャルを活かす建築環境を求めて



建築環境システム 宿谷研究室

宿谷昌則 (建築環境学 教授)

東京都市大学
環境情報学部・大学院環境情報情報学研究科
            

 

◆ 研究・教育の領域  

私たちの研究室では、人間にとって最も身近な環境空間  〈建築環境〉  を対象にして、そのほどよい状態とは何か、また、ほどよい状態を実現するには照明や暖房・冷房・換気システムをどのように構成したらよいかを研究してい ます。この領域は従来、「建築環境工学」と呼ばれている領域ですが、私は、これを敢えて「建築環境学」と呼ぶことにしています。建築環境「工」学でなくて、建築環境学としている理由は、これからの工学には、これまでのところ主として人文科学や社会科学が扱ってきた(自然科学や工学の扱うところではなかった)人間の振る舞いについても積極的に取り上げていく必要があると考えるからです。建築環境に関するこれまでの科学や工学が意識してきたものをハードウェアと呼ぶことにすれば、ソフトウェアについてのより積極的に研究する必要があるわけです。人にとって適切な建築環境とは何か、人にとって快とは何かなどを明らかにすることを目指し、延いては人間とは何かを明らかにしつつ、人間社会に本当の意味で必要となる技術を見出したいと考えます。〈ヒト〉の振る舞いについては生理学や解剖学が、また、〈人〉の振る舞いについては心理学が、さらには〈人間〉の振る舞いついては社会学が扱ってきた わけですが、これらと建築環境(の物理)学を、私たちなりに融合していきたいと考えています。

“地球環境問題”や“エネルギー資源・物質資源問題”と呼ばれる問題を理解し、何がその解決方法として“持続可能な社会の構築”に寄与しえるのかを考えるには、以上のようなアプローチが不可欠と言って言い過ぎなら少なくとも有用と考えます。

 

 

◆ 最近の研究テーマ  

照明や暖房・冷房・換気にエネルギーが使われていることは誰もが知っていることですが、その理解を深めるために、エネルギー・物質の「資源性」とその「消費」とを定量的に表現することのできる「エクセルギー」概念を使った研究を行なっています。エクセルギー概念は、基礎的な研究もなので、基礎研究と応用研究を併せて行なっています。

エクセルギーの研究を推し進めてきたことによって、例えば、窓を透過する昼光を利用した照明や電灯を用いた照明では、一体全体何が起きているのかが明らかになってき ました。同様のことが暖房や冷房に関しても明らかになり、身近な自然に存在しているエクセルギーをどのように発掘し、建築環境の調整のために消費したらよいか、化石燃料のエクセルギーは、本来どのように消費するのがよいか‥‥などの方向性が見えてきています。

研究目標のタイトルに「自然のポテンシャル」とありますが、これは私たちの身近な自然にあるエクセルギーを意味すると同時に、ヒトが本来持っているはずの  環境に適応し、また、環境をほどよく調整する能力 −振る舞い方も意味します。過去50年ほどの間に著しく発達した照明・暖房・冷房・換気の技術は、ヒトの振る舞い(生理・心理)に大きな影響を与えていると考えられるため、ある建築環境におけるヒトの振る舞い(感覚から知覚を経て認知・行動にいたる一連のプロセス)が、日ごろの生活とどのように関連するかを知るための調査や実験も積極的に行なってい ます。

以上の詳細について興味ある方々は、左記の研究論文リンク先ページなどをご覧ください。

 

 

◆ 研究室のメンバー  

研究室の構成メンバーは、大学院環境情報学研究科・修士課程の学生が人(D3:1人、M1:2人)、学部4年生が16人(環境情報学部・環境情報学科:13人、工学部・建築学科:3人)、学部3年生が12人(環境情報学部・環境情報学科:12人、工学部・建築学科:未定)の合計31人に、私を加えた32人です。

研究室に所属する大学院生・4年生は、様々な具体的な実験や調査・数値計算などに取り組み、その成果は例えば、論文リストにあるとおり、学会ほかの場で積極的に発表しています。研究の進め方として腐心していることは、学生たちが徹底的に議論して、自分たちが心の底から面白いと思えるテーマをどうやって設定するかで す。言い換えると、私はおおよその研究の方向性は示すけれども、個々の具体的なテーマは、皆が積極的に協力し合って探り求めることです。面白くてユニークな研究は、このようなプロセスによってのみ可能になると考えて います。研究室でのこれまでの成功と失敗の経験からそう思うのです。

3年生は、卒業研究や就職活動・大学院進学に備えて、建築環境に関わる物理・生理・心理について3年生ならではのテーマを一つ決め、そのテーマについて、読み手として大学2年生 ・高校生・親・兄弟・姉妹などを想定した、わかりやすい冊子(教科書)づくりに挑んでもらっています。

 


東京都市大学 環境情報学部 ・大学院環境情報学研究科 宿谷昌則研究室
 
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