<日付/時刻>
マスタ テキストの書式設定
2 レベル
3 レベル
4 レベル
5 レベル
<#>
これから平成二十年度卒業論文発表。
「クレマチス属植物を利用した垂直緑化の実験、ヒートアイランド現象の緩和および都市の美化を目的として」を発表します。
発表者の斎藤です。よろしくお願いします。
1
近年、都市における温暖化およびヒートアイランドの進行が大変顕著となっています。
この主な要因として、人工排熱の増加、道路や建物といった人工被覆面の増加とならび、緑や水面といった自然被覆面の減少が挙げられます。
そこで緩和措置として壁面緑化の導入された結果、ヒートアイランド緩和効果、室内の熱環境緩和効果、壁面緑化による省エネ効果、建築・構造物保護効果をもたらす事が報告されており壁面緑化が注目されています。
しかしながら、現在壁面緑化で利用される植物はナツヅタ・ヘデラ類などの花がつかないつる性植物が中心となっており、したがって香りもありません。
2
このような現状を踏まえ、一年を通じて花や香りの楽しめるつる性植物による垂直緑化の可能性を検証するためにバラ属の植物とならび花を咲かせるつる性植物の代表であるクレマチス属植物によるフェンス緑化の植栽及び生長解析の実験を行いました。
本研究では、ヒートアイランド現象の緩和、都市の美化を目的としたクレマチス属による垂直緑化の実験を横浜市都筑区の横浜キャンパスで行い、横浜市で一年中様々な色の花や香りを楽しめるクレマチス属植物の組み合わせを提案する。
3
20073月に全31種のクレマチス属植物を1種類あたり3株ずつ、合計93株のクレマチス属植物を植えました。
4
また、今回の垂直緑化の実験では登坂させやすいメッシュ状のフェンスを選び垂直緑化に利用しました。
クレマチス属植物は深根性の植物であるため植栽の際に深さ50pほどの穴を掘り、腐葉土とパーライトで水はけのよい土壌に改良しました。
5
こちらは武蔵工業大学の全体図で、対象地であるテニスコートは体育館の北側に位置しています。
6
こちらがテニスコート内のクレマチス属植物の配置の詳細で、警備員室の後ろのジャックマニーという品種から反時計回りにレペンスという品種まで全93番の番号を割り振った苗が植えてあります。
7
期間は20084月から12月末までとしました。
測定項目は、伸長値、茎の太さ、芳香性、花期、花色になります。
8
測定項目について測定理由を説明したいと思います。
伸長値はどの種が壁面緑化を効率的に行えるかを判別するために調査します。
芳香性と花期、花色は、こちらも組み合わせを提案する際に使うために調査します。
9
研究結果です。
まずクレマチス属植物の伸長量について説明します。
4月時の長さを起点に12月末までに一番伸びたクレマチス属植物の個体の上位18株を選び表にまとめました。
10
こちらが上位18株を表にまとめた結果です。
11
結果、伸びの良い株の上位18株の選んだところ93株中21株のみの日本在来種が8株を占めた。その日本在来種の中でも、上位18株の中にタカネハンショウヅルが2株、シロバナハンショウヅルが3株、長野のカザグルマが2株と各品種とも個体間で伸長量に差はあるものの、日本在来種がよく生長して枝が伸びるという結果を出しています。(ポインタ使いながら)
12
次に花期についてです。
結果、花期が書かれていますが、当キャンパスで行った実験では、文献のような花期とは違う期間を示しました。
さらに、各品種の個体によっても花期の違いが出ています。
結果は93株あるので一部をピックアップして説明したいと思います。
13
こちらはタカネハンショウヅルの例となります。
花が咲いた株に関しては、このタカネハンショウヅルのように文献の花期より前後二ヶ月ほど早く開花することが多い結果となりました。
14
次に芳香性についてです。
今回は芳香性の強弱について調査を行わなかったため、香りの強弱の記載はありません。
芳香性に関しては個人の主観が入っていますのでだいたいこのような感じの香り・・・と思ってください。
15
結果、芳香性は「土岐のカザグルマ」、「長野のカザグルマ」に関しては同じ品種でも個体ごとで香りが違う結果となりました。
16
秋期から冬期における葉の落葉性と常緑性を写真による比較調査を行った結果、秋期から冬期において葉を多く残している種がユンナネンシスとアップルブロッサムでした。
こちらはユンナネンシスの写真で11月に撮影したものと1月に撮影したものになります。
冬期に入り他の品種が枯れて葉が無くなっていくのに対してユンナネンシスとこちらの写真のアップルブロッサムは、葉を多く残している結果となりました。
○スライド変更
17
こちらの写真のアップルブロッサムは、葉を多く残している結果となりました。
18
以上各品種の伸長量、花期、芳香性の結果から
本研究の目的である「一年を通じて花や香りの楽しめるつる性植物による組み合わせ」を考えるうえで重要な点を列挙しました。
まず壁面緑化を効率よく行うために伸長量が高い品種、そして伸長値の高い結果をだした日本在来種の利用が重要です。
そして組み合わせを考えるため花期の期間、芳香性がある品種を利用することが重要になります。
19
以上を踏まえて以下の4種類の組み合わせの例を提案します。
20
まず、伸長量が高い組み合わせで一年中楽しめる組み合わせの提案です。
こちらがタカネハンショウヅル、そしてプリンセスダイアナ、シルホサの組み合わせになります。
21
次に、一年中花を楽しめる組み合わせの提案です。
こちらがプリンセスダイアナ、そしてウンシナータ、シルホサの組み合わせになります。
22
次に、芳香性を楽しめる組み合わせの提案です。
こちらがモンタナエリザベス、そしてウンシナータ、モンタナスプーネリーの組み合わせになります。
23
最後に日本在来種を使用した組み合わせになります。
こちらが長野のカザグルマ、そしてボタンヅル、タカネハンショウヅルの組み合わせになります。
24
考察です。
これらクレマチス属植物を利用した壁面緑化を際は個体ごとの違いに十分留意する必要があります。
また、垂直緑化の植物として利用する場合は、伸長量が大きく、花期が長期間で香りのある株を選び、さし木などで同一の株を増やしていくと花や香りを楽しみながら、より効率よく垂直緑化を行うことができるといえます。
25
引用文献です。
発表は以上です。ご静聴ありがとうございました。
26