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先ほど発表した大田黒君と同じ背景なので端的に説明させていただきます。
日本では、米国に比べミティゲーションの目標が不透明だというのが現状です。国際的な動向としてもCOP10に向け様々な取組が検討されており、主催国である日本も生物多様性を保全するため、ミティゲーションの改良の必要があります。
以上の背景の下、本研究はオーストラリアにおける「環境アセスメント」「生物多様性オフセット」「生物多様性オフセットバンキング」 に関する情報をまとめ、先の文献となることを目的としました。
研究方法は、オーストラリア各政府による報告書を中心とした文献尾y9帯インターネット調査より行いました。また研究項目として「環境アセスメント」「生物多様性オフセット」「生物多様性オフセットバンキング」を調査しました。
オーストラリアにおける環境アセスメントについて研究した結果を発表させていただきます。
オーストラリアにはEPBC Actという法律があります。これは、環境保護及び生物多様性保全法の略称です。オーストラリア連邦政府による環境法であり、環境アセスメント、生物多様性保全、世界遺産の保護等に関する規定が定められています。
また、そのEPBC Actにより「絶滅危惧種と移動性生態系群落」や「国際条約に基づく移動性動物種」といった、7つの「国内の重要な環境要因」と「国有地の環境」が保護されており、そのいずれかに影響を与える可能性が有る行為は、環境アセスメントを必要とし、環境大臣に申請する必要があります。
また、その申請により、「影響の予測される対象と範囲」や「提案されるミティゲーション方案」が明らかになります。ここからオーストラリアにおける生物多様性オフセットは開発を終えた後ではなく、開発の計画段階から考察に入れる必要が有ることが分かりました。
次にオーストラリアにおける生物多様性オフセットの研究結果を発表させていただきます。オーストラリアでは、環境オフセットの名で用いられており、その役割は「開発提案者に長期保全を達成する機会を提供するツール」とし、目的は「持続可能な開発と長期保全の達成」。その主要保護対象として「絶滅危惧種と移動性生態系群落」や「国際条約に基づく移動性動物種」が挙げられています。また「直接的オフセット」と「間接的オフセット」の2種類が存在しています。
ここでは、オーストラリアのミティゲーション方策について米国と比較して説明させていただきます。
まず、オーストラリアでいう「ミティゲーション」とは、米国で言う「回避」「最小化」当たり、その定義を「行為の範囲内で回避や最小化により開発の影響のレベルを減少させる」としています。
次にオーストラリアで言う「生物多様性オフセット(直接的オフセット)」とは、米国で言う代償ミティゲーションに当たり、「開発対象地におけるハビタットもしくはランドスケープの「維持と改良」、つまり「ノーネットロス・ネットゲイン」を目的とするオフセット」です。
また、間接的オフセットは「保全に繋がる直接的オフセット以外の行動」とし、より良い保全を導く知識や、管理プランの提案といった将来的に保全に生かされる行動です。米国には無い新しい概念であると思われます。
また、オーストラリアのミティゲーション方策には、米国と同じように優先順位が存在しており、ミティゲーション、直接的オフセットを通し負の環境影響を軽減してい「ノーネットロス・ネットゲイン」を達成する目標を持つことが判明しました。
オーストラリアにおける各州のオフセット政策に関しまとめました。準州以下を除く6つの州でオーストラリア連邦政府が認めるオフセット政策が確認されており、州においても生物多様性オフセットは発達していると言えます。
次にオーストラリアにおける生物多様性オフセットバンキングについて説明させていただきます。まず生物多様性オフセットバンキングとは「市場から生物多様性や自然植生の損失をまとめて効率的に行う仕組み」です。
オーストラリアではニューサウスウェールズ州「バイオバンキング」、ヴィクトリア州で「自然植生ブローカー」が確認されました。
「政策名」「仕組み」「バンク」「クレジット」「目的」で表を作成しました。
2州の仕組みは同じであり「各州環境省がランドオーナーにクレジットを与え」、次に「ランドオーナが開発事業者にクレジットを売却」そして「開発事業者が購入したクレジットを利用した申請を行う」。この3者の関係によって成り立っています。
また、バンクとは「場所・空間的概念」であり、クレジットとは「バンク内の種やハビタット保全価値の量」であり、市場で取引されます。ニューサウスウェールズ州は生物多様性クレジットを用いた生態系バンク、ヴィクトリア州では自然植生クレジットを用いた自然植生バンクと呼ばれています。
次に政策を通した目的として、ニューサウスウェールズ州は生物多様性価値の維持又は改良、ヴィクトリア州は自然植生の質、そして/又は、量の増加を挙げています。
次に米国のミティゲーションバンキングとの比較について説明させていただきます。米国におけるミティゲーションバンキングは貴重野生動植物のハビタット保全を目的とするコンサベーションバンキング、ウェットランド保全を目的とするウェットランドミティゲーションバンキングが存在します。
対象種の数からクレジット数を計算するコンサベーションバンキングと、生物多様性価値から計算するニューサウスウェールズ州の生物多様性バンキングは「土地の広さより、生態系の質的保全を目的とする概念」という共通概念を持っていることが判明した。
また、ウェットランドミティゲーションバンキングとヴィクトリア州の自然植生クレジット登録及びトレードシステムに関しても主にハビタットの広さからクレジットを計算する「特定の生態系保全より、量的保全を目的とする概念を持つ」というところで共通している。
オーストラリアにおける環境アセスメントから判明したことは、EPBC Actにより絶滅危惧種と移動性生態系群落を含む7つの環境要因や国有地における環境が法的に保護されていること、生物多様性オフセットは開発事業を行う申請の際にミティゲーション方策として提出する必要がある。
また、オーストラリアにおける生物多様性オフセットに関しては、ミティゲーション方策として「ミティゲーション」と「生物多様性オフセット」が用いられており、「ミティゲーション」は米国で言う「回避・最小化」。また、生物多様性オフセットに2種類存在し、米国で言う代償ミティゲーションに当たる直接的オフセット、米国にない新しい概念だと思われる間接的オフセットが存在していることが判明しました。
また、オーストラリアにおける生物多様性オフセットバンキングに関しまして
ニューサウスウェールズ州、ヴィクトリア州で確認され、各政府環境省がクレジット登録の主体となり、生物多様性の保全に意欲的である事が判明しました。
オーストラリア連邦政府による生物多様性オフセットのガイドライン作成が行なわれたことから、次は国レベルで生物多様性オフセットバンキングのガイドラインが作成される必要があります。そのため継続した研究が必要であると考えられます。
また、国際的にも生態系保全の意識が高まっており、COP10の開催国である日本にも2008年に新しく出来た生物多様性基本法に基づく法律やガイドラインの作成に期待したい。