マスタ テキストの書式設定
2 レベル
3 レベル
4 レベル
5 レベル
<#>
1
これから平成21年度卒業論文発表を始めます。タイトルとはダム撤去を対象としたHEPによる評価方法の研究-球磨川荒瀬ダムを対象として-です。発表者の松川です。よろしくお願いします。
2
背景と目的です。
近年インフラなどによる構造物の建造、老朽化や累積的環境影響より様々な問題が顕在化されています。特に生態系やハビタット消失問題は深刻であり今後もその傾向は悪化する一方であろうと言われています。また、老朽化したインフラの撤去と生態系の復元・修復事業が米国をはじめとして各国で相次いでおります。一方自然再生や生態系復元の動きが活発化しており生態系を定量的に評価するHEPが注目されており、生態系に対する影響の損出や利益を定量評価でき人間活動と自然保護のバランス検討をする際に極めて有益な手法であります。
そこで本研究では熊本県球磨川荒瀬ダムを対象にダム撤去におけるHEP適用の際の評価方法をあきらかにすることを目的としました。
研究方法です。
荒瀬ダム撤去問題におけるHEP適用の際の評価方法を明らかにするにあたり1.ダム撤去の現状、2.荒瀬ダム撤去問題に関する社会的動向の整理、荒瀬ダム撤去における複数案の作成、評価種の選定、HSIモデルの作成を行いました。
研究結果です。
7
最初に対象地である荒瀬ダムの詳細を紹介します。荒瀬ダムは1954年に建設された球磨川最下流のダムであり、ダムの主な目的とは下流にある県営藤本発電所へ水を送ることです。
最初に対象地である荒瀬ダムの詳細を紹介します。荒瀬ダムは熊本県経済復興を目的に策定された球磨川総合開発計画に基づき1954年に建設された球磨川最下流のダムである。ていこう25m、ていちょう210.8m、総貯水量約111千万トンです。ダムの主目的は長さ600mのトンネルを通して下流にある県営藤本発電所へ水を送ることです。
堤高(ていこう)
荒瀬ダム撤去問題の社会的を説明します。
荒瀬ダム撤去までの流れです。
そこで2002年に坂本村川漁師組合が呼びかけダム撤去運動が開始されました結果、200212月に潮谷前知事は2010年に荒瀬ダムを撤去すると表明しました。しかし20086月に蒲島知事が財政再建等の理由により、荒瀬ダム撤去方針の凍結を行いました。凍結したことで地元の反対が大きく、20102月に水利権の更新が困難とし、水利権を2年更新し、2112年に撤去作業に入ると表明しました。
続きまして、荒瀬ダム建設による環境影響です。大きく分けて貯水池の堆砂、下流河道への土砂ストップ、下流の流況変化、下流の河川景観の変質の4つの要因が挙げられることがわかりました。その影響により、赤潮やアオコの発生、アユや干潟の生物のハビタット消失につながっています。
河道(かどう)、河床(かしょう)、富栄養化(ふえいようか)、橋脚(きょうきゃく)、
洗掘(せんくつ)・・・水や波浪により河岸、海岸または河床や海底の土砂が洗い流されること。
砂州(さす)・・・海岸や湖岸にできた砂堤。潮流・風や河川の運んだ土砂がたまってできる。
ダム撤去におけるステークホルダーです。
荒瀬ダム存続派の団体としては、熊本県、電気事業者、農業団体などが挙げられ、主にダムを管理する行政が推進派となっています。
 一方ダム撤去派は地元団体、漁業団体、市民団体、政治団体などの主に地元住民や地元漁業者であることがわかり、行政と地元の問題が大きかったです。
10
ステークホルダーがあきらかになったところで、複数案の作成をします。荒瀬ダム撤去問題で複数案を作成するさいに、推進側と撤去側両方の意見を入れる必要があります。ダム撤去側は昔から荒瀬ダムによる様々な悪影響を受け、そこでとにかく撤去してほしいという多いです。そこで今回は荒瀬ダムを存続する場合、撤去する場合と荒瀬ダムの水門ゲート開門の3つの案を作成しました。水門ゲート全開の案は撤去派推進派の間をとった案として作成しました。
続きましてHEPを用いるにはまず、評価種の選定をおこないます。評価種の選定基準は@市民の興味が高い種、希少性から保全すべきであると考えられている種と、A生態的にその地域の生態系を代表する種の2つに大別する事ができます。以上2つの基準より荒瀬ダムにHEP調査における評価種の選定を行ないます。
まずは、人との関わりが強い漁業に着目した球磨川下流から河口における減少してしまった種の一部です。八代海、球磨川共に漁の対象である魚類は殆どが減少してしいます。また八代海における砂干潟、藻場も減少傾向にあります。
次は球磨川下流〜八代海における希少な種の一部です。2種とも希少な種であります。
評価種としてアユとアサリを選定いたしました。
球磨川におけるアユは一産業として成り立っており、アユ釣りの場所としても有名であり、地元住民にとってもとても関わりのある魚類である。
よって市民の関心の高いアユを評価種の1つとして選定しました。
またアサリは海水中の植物プランクトンなどを餌としえおり、優れた海水浄化機能を有しており、干潟を代表する種、食用としても人気が高い種ということで評価種として選定しました。
ダムができる前は流域に2000人〜3000人の専業川漁師がいたが、ダムにより全員廃業に追い込まれてしまった。
評価種の選定が終ったら選定した評価種のHSIモデルの作成を行います。
HSIモデルはHEPにおける「質」の部分で用いられるものであり、生物のハビタットの適正を01に。
そこで荒瀬ダムにおけるアユとアサリのHSIモデル作成を行ないました。尚、作成を行なう際にはアユ、アサリ共に既存のHSIモデルが作成されているので既存のHSIモデルを基にHSIモデルの作成を行ないました。また荒瀬ダム撤去の有無により生態系への影響の違いを見るのでダム撤去によりHSIが変わるSIを盛り込む必要があります。
アユが13個、アサリは4つの環境要因を選定し、SIモデルの作成を行ないました。
右にあるのがアユとアサリのSIモデルの一例です。
ちゅうおうりゅうけい
先ほどの作成した複数案の概要。
A案は現状のままの状態、b案はダム撤去は行わないが、ダム発電を一時的にやめ、水門ゲートを常に全開している状況を想定した。C案はダム撤去の案でダムの全面撤去を行う場合の案です。
評価種の選定を行ったので、実際にHEPを用いて調査を行う前にそれぞれの複数案がアユとアサリのSIにどのような影響を及ぼすであろうかという予測をたてました。
17
まずは何も行なわないa案です。
18
県が影響予測したものは、定量的に影響を行うことは困難としており、具体的な影響がわかりません。 アユとアサリにおける影響として、主にダムによる土砂、汚泥が原因で影響が出ると予想されます。
砂礫(されき)、河床(かしょう)
つづきましてb案です。
20
B案です。水門ゲートをあけた状態です。水門ゲートを空けたことにより一時的には泥などによる影響を受けますが、ダムによる遮断がなくなり、アユ、アサリ共に良い影響を与えると予想されます
最後にc案です。
22
ダム撤去による一時的に悪影響は及ぼすが、ダムが無くなる事でよい影響を与えると予想されます。
引用文献です。以上で発表を終わります。ご静聴ありがとうございました。