1.分析化学分野

 

(研究概要)

咸ら(2003,2007)は,スタッキング法(field-amplified sample stacking)によるオンライン試料前濃縮(on-line preconcentration)を用いたキャピラリー電気泳動法(CE)で溶存態全アルミニウムの濃度を高感度で測定できる方法を検討した。分析方法を開発・確率し定量分析することは、我々の身近な環境の中の見えない部分を科学的な根拠に基づいた具体的な数値にし、汚染実態を把握できる第一歩である。

 

(背景)

  1. アルミニウムは,土壌中の元素のうち,酸素(平均49%),ケイ素(33%)の次に(平均7.1%)多く含まれている(Bowen,1979)。
  2. アルミニウムは,我々の身近な場所にもあるし、利用されている(車、バイク、家電、医薬品など)利用価値の高い物質の一つである。
  3. 世界の金属生産量の中で最も高い増加率を示している。
  4. これらの背景と共に,自然および人為起源から大気中に放出される重金属の中でアルミニウムが最も多く,大気由来のアルミニウム量より土壌由来のアルミニウムも含まれていると思われる河川から流出されるアルミニウム量が約500倍多く推定されている(Lantzy & Mackenzie,1979).
  5. 生物に及ぼすアルミニウムの影響の側面では,1)植物にとって毒性を持ち(E. Brenes, R. W. Pearson,1973;T. Wagatsuma, Y. Ezoe,1985;G. Weber-Blaschke, K. E. Rehfuess,2002),2)ヒトの脳においてもアルミニウム濃度の増加は,アルツハイマー病気で生じるニューロンの神経原繊維の変質を引き起こす可能性があると指摘されている(D. R. Crapper, S. S. Krishnan, A. J. Dalton,1973)。
  6. アルミニウムは酸性およびアルカリ性の条件下で溶存しやすい性質を持つため,水試料中の微量分析の一つの元素として注目されている。

(スタッキング(field-amplified sample stacking)とは)

図1のようにキャピラリーの中で分析する物質の移動速度の差を利用して濃縮した結果、低濃度にまで検出感度が改善できた。一方、試水中の物質の濃度が高すぎると希釈して分析する必要があるが、図1を180度回せば図2のようになり理論上オンライン試料前希釈が可能となる。これに似た汚染物質の濃縮現象は、実際自然域(河川、湖沼など)と都市域(下水処理場など)の中でも起きている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

⑦アルミニウム化学

 


図3.アルミニウムイオン(イオン式:Al(H2O)63+、略式:Al3+)の三次元分子モデル:真ん中にある一つのアルミニウム原子の周りを六つの水分子が囲んでいる様子を電子雲で表したもの




図4.水溶液pHによるアルミニウムイオンの化学種の分率の例

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(課題)

  1. オンライン試料前希釈法について
  2. これまで測定できなかったアルミニウムイオン種の分析法について
  3. これまで測定できなかったアルミニウム錯体の分析法について

 

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