3.大気汚染分野

 

(研究概要)咸研究室では、大気汚染の中で、陸地生態系において広い範囲に酸性化等の影響を及ぼしている大気沈着物(降水やガスなどの大気由来の沈着物の総称)に着目してきた(図1)。神奈川県北部における長期間のモニタリング分析結果によると、化石燃料の燃焼後生じる人為起源ばかりでなく、日本の自然環境の特徴である火山噴火による影響も受けていることが推定された(図2、図3、図4)。三宅島の雄山は、調査地(神奈川県北部)から約170km南に位置し(図3)、2000年6月に噴火活動を始めたが、本格的に噴火し始め調査地まで影響を与えたと推定されるのは2000年7月から2001年6月までの満1年間に、採取した大気沈着物のpHが酸性雨とされるpH5.6以下で平均4.7を示した(図2)。なお、大気由来の沈着物には、酸性雨のような酸性沈着物ばかりでなく、アンモニアガスなどのアルカリ性沈着物も存在している。本研究では大気由来の沈着物を酸性とアルカリ性に統合的に評価できる大気沈着物(Atmospheric Deposition)の採取方法を用いている(図5)。今後化石燃料の燃焼、火山噴火、気候変動などの多くの変数(環境要因)の中で大気沈着物(Atmospheric Deposition)のpHがどのように変化していくのかに注目していきたい(図2)。



図1.人為起源と火山噴火による酸性雨の生成メカニズムの模式図

 


図2.神奈川県北部における大気沈着物(Atmospheric Deposition)のpHの変動

 


図3.本研究の調査地と三宅島の位置図(約170kmの距離)。2012年2月21日現在日本における噴火警戒レベル中の火山の分布(気象庁より改変)

 


図4.2000年8月18日噴火している三宅島の雄山の様子(気象庁)

 

図5.大気沈着物(Atmospheric Deposition)の採取装置

 

 

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