☆研究テーマ
3.都市河川の下水処理方式の違いによる雨天時・晴天時の水質調査:横浜市の早渕川を事例として

☆研究メンバー
高比良諒(同大学同学部3年)
平川貴(同大学同学部3年)
武川真人(同大学同学部3年)

☆研究概要

1-1 研究背景

1-1-1 行政による水質評価の現状
現在、日本における公共用水域の水質の測定は「水質汚濁防止法」(昭和45年12月制定)の規定に基づき、国、都道府県、市町村単位で実施されている。(安部ら 1999年)しかし、水質測定方法に関しては、採水の条件を晴天時のみに定めている点や晴天時のみのデータを用いて水質評価が成されている点があり、雨天時を含めた河川水質の実態把握が困難となっているのが実状で、測定方法の見直しが求められている。


1-1-2 採水に関する問題点
採水に関しては、水質汚濁防止法の水質調査指針に「採水日は採水日前において比較的晴天が続き、水質が安定している日を選ぶこととする」と明記されている。諸機関は、これに基づいて採水し、水質の評価を行っているが、雨天時には各吐き口から越流水や雨水排水の他に、地表を流れる雨水が土手を伝い、様々な物質を含みながら河川に流入する。この結果、晴天時には見られない変化が雨天時には見られることが予想され、一般に公開されている晴天時のみの水質データだけでは、雨天時の水質の実態や雨天時を含めた河川への汚染物質の総負荷量を把握できない問題点があり、正確な水質評価を行うことを困難にしている現状がある。


1-1-3 合流式下水処理方式と分流式下水処理方式の違いによる問題点
本研究では、合流式下水道と分流式下水道が河川水質に与える影響について調査し、晴天時と雨天時の水質の比較も行う。ここで、合流式下水道とは、汚水と雨水を同一の管路で下水処理場まで排除する下水道のことで、分流式下水道とは、雨水はそのまま公共用水域に放流し、下水のみを下水処理場で処理する方式の下水道のことである。換言すると、合流式下水道では、晴天時は全ての汚水を処理場に送水し処理され、公共用水域に放流するが、降雨時の流出量が多い場合は全ての流出水を処理することが出来ないのに対し、分流式下水道は、晴天時と同様、雨天時も汚水と雨水を別々の管路で、汚水は処理場へ、雨水は直接公共用水域に送水している。(流域マネジメント-新しい戦略のために-P.124)
よって、合流式下水道の処理方式では、大量の降雨により雨水量が増えると、雨で希釈された未処理下水やきょう雑物の一部が雨水吐の堰を越流し、吐き口から公共用水域に放流され、河川に悪影響を与える。また、分流式下水道の処理方式では、大量の降雨時でも汚水と雨水は別々の管路で処理場と河川へ運ばれるので、汚水と雨水が一緒に河川へ流入する量は合流式下水道の処理方式よりも少ないと考えられる。しかし、降雨初期はいずれの下水処理方式でも大量の雨水によって処理できなかった汚濁負荷が直接河川に流入し、河川水質に悪影響を与える傾向があり、下水処理方式の違いによる河川への汚染の寄与度を調べる必要がある。(流域マネジメント-新しい戦略のために-P.124)

 

1-2 研究の目的

本研究の第一の目的は、晴天時と雨天時の河川水質を季節ごとに各4回ずつ計8回に分けて継続的に調査し、データの比較を行って、晴天時と雨天時での水質の違いを明らかにすることである。雨天時には各吐き口から越流水や雨水排水の他に、地表を流れる雨水が土手を伝い、様々な物質を含みながら河川に流入し、悪影響を与えている可能性が示唆され、晴天時と比べて水質が悪化していると考えられる。そのため、晴天時と雨天時の水質調査データを比較し、諸機関が水質調査と評価を行う場合に、採水する条件を晴天時だけに設け、晴天時のみのデータを用いていることが、正確な水質評価を行う上で正しいものかを評価していく。

本研究では、合流式下水道と分流式下水道の放流水が河川水質に与える影響を晴天時と雨天時に分けて調査した。特に雨天時に着目して、合流式下水道と分流式下水道の放流水が河川水質に与える汚濁負荷の影響を比較し、下水処理方式の違いによる放流水由来の河川への汚染の現状を明らかにすることを本研究の第二の目的とする。降雨初期はいずれの下水処理方式でも大量の雨水により処理できなかった下水やゴミ等が直接河川に流入し、河川水質に悪影響を与える傾向があるが、下水と雨水を一緒に河川へ放流する合流式下水処理方式の方が、分流式下水処理方式よりも河川に与える影響は大きいことが予想され、その真偽の程を確かめる必要がある。

<写真資料>