教育・研究事例

オープンキャンパス2017でのプログラミング模擬講義教材

 昨年までのオープンキャンパスでは、模擬授業体験イベントとして、Java言語でのプログラム作成を体験して頂きました。

 この動画は、2017年に行った、最新のグラフィクス環境「JavaFX」を用いたプログラミング体験教材です。

動物の思考のプログラミング

 この教材は、3年次の「コンピュータ・シミュレーション」の授業の最終プロジェクト課題として提示しているものです。Java言語を用いて作成された草原の中を、羊たちが群れながら草を食べています。そこに牧羊犬を登場させ、なるべく短時間で羊たちを小屋へと導こうという課題です。受講生には、牧羊犬の思考ルーチンのみ公開され、犬の行動「走る」、「歩く」、「休む」の判断を状況に応じて適切に行うような思考設計が求められます。この課題は、プログラミング教育の最終課題としての意味を持ち、オブジェクト指向を最大限活用することが求められるとともに、チームでプログラム開発を行うことを体験する場でもあります。


 

 この例では、2匹の牧羊犬が10匹の羊たちを上手く導いて、最短時間で無事、羊小屋に追い込んでいます(受講生が作成した思考ルーチンを使用)。


 

論文: Toshiaki Yokoi, Development of a Computer Simulation Platform for Learning Constructive Approach of Animal Behaviors, the 34th JSST Annual Conference International Conference on Simulation Technology, 2015.

 
変分問題の離散モデルによる解法

 変分問題とは、最適な関数の形を決定する問題です。一般の関数の極値問題では、関数の値が最大となるような変数の値を求めます。これに対して変分問題では、エネルギーや時間、面積などが最大/最小となるような、関数の形を求めようとする問題です。この問題は、従来の微分積分学の範囲では解を求めることができないために、「変分学」という新しい学問分野が拓かれました。

 しかし、ここで紹介するのは、当研究室で独自に考案した数値解法で、区分関数近似という手法で関数を近似することで、ディジタルコンピュータの能力・特性を最大限活用して解を求めた例です。

 最初の例は、等周問題ともいわれ、同じ長さのひもで最大の面積を囲むような曲線を求める問題です。正解は真円です。数値計算によって徐々に真円に近づく様子を、アニメーションでご覧下さい。


 

 次の例は、「最速降下線問題」です。重力のみによって、A地点からB地点までに最短時間でたどり着くような滑らかな曲線を求める問題です。正解はサイクロイド曲線です。以下の例では、区間を40分割して、曲線の近似としています。最適解(サイクロイド曲線)に近づく様子をご覧下さい。

 この手法を用いれば、、空気抵抗や摩擦がある場合のように、現実的な条件下であっても解を求めることが可能です。

 

論文:横井、数式処理システムと数値計算手法の併用による最速降下線問題および拡張問題の考察, 第29回日本シミュレーション学会大会、2010年6月.

 

Lorentz Attractor
 この図は「ローレンツ・アトラクタ」と呼ばれ、気象学者ローレンツが気象の簡単な数理モデルを研究する中で発見したカオスの例です。
 特徴:

 ・軌跡は永遠に交わらないのに、全体は、ある範囲の構造を示す。
 ・初期値が少しで異なると、まったく異なる軌道を描く。
 ・ある位置から突然,別の曲面に移動することがある。

 何かを暗示するようでいて美しい画像をアニメーションでご覧下さい。

 
高均一磁界の設計手法

 この研究は、MRI用の高均一磁界の設計研究で開発したプログラムを、教育用に改編し、GUIや条件数の算出などの機能を付加したものです。2次元の無限に広がる一様な媒質中での均一磁界設計を可能としています(研究論文では、周囲に鉄が存在するなかでの高均一磁界設計手法を報告しています)。

 様々な条件設定をして、計算機実験(シミュレーション)を行う中で、マトリクスの性質に関する理解を深めることを目的にしています。

 斜めの均一磁界の設計など、ヘルムホルツコイルではできない不思議な均一磁界設計の様子をご覧下さい。



論文1:A. Ishiyama; T. Yokoi; S. Takamori; T. Onuki, “Optimal design of superconducting magnets for whole-body NMR imaging”, IEEE Transactions on Magnetics, volume: 23, number: 2, Pages: 603–606, 1987.

論文2:Toshiaki Yokoi, Development of a Training Software for Learning Matrix Characteristics with Uniform Magnetic Field Design Problem, the 19th International Conference on Electrical Machines and Systems (ICEMS 2016),DS6G-3-3, pp.1-4, Nov. 2016.


高速リニア誘導モーターの高推力化設計

 この研究は、HSST方式の高速リニア誘導モーターの励磁電流の最適化結果を可視化したものです。新たに開発した固有値分析法(EVA:EigenValue Analysis Method)によって、時速300キロメートルの状況でも推力を発生できる設計が可能なことを示しています。このEVA法を用いれば、高速モータだけでなく、低速リニアモータ(地下鉄などで利用)や回転型モータにおいて、さらに性能向上を図ることができる可能性があります。

 

 

論文: 横井、松山、海老原、 電磁力の固有値分析手法に基づく高速リニア誘導機の特性改善の可能性について、電気学会論文誌D、112巻、12号, 1992.