Diary March 6th 2010 of Nepal Japan Project web site

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コミュニティーフォレスト講義

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 今日は午前中にコミュニティー・フォレストの運営団体を訪れました。そこでは、様々な運営内容や仕組みについて30分ほどレクチャーを受けました。
最も印象深かったのは、この団体が長い視点で将来を見据え、様々な活動に対して着実に1歩1歩段階を踏みながら研究を重ねていることです。このことから私たちは、持続可能性の根本でもある『即座の利益を求めるのではなく、長期的な目で全体像を眺める』という重要性を再確認しました。
例えば、まず第一にコミュニティー・フォレスト内を流れる川に魚を人工的に放流し、育て大きくなった魚を売り物として観光客向けに販売をしています。そして得た利益をコミュニティー・フォレストの維持管理費用として利用しています。この取り組みの背後には、魚を放流し、育てるということは、『川の水質や環境を良い状態に保たなければならない』という背景を含み、あらゆることをリンクさせる必要性があります。持続可能な発展を考えるには、1つの視点からではなくこの様に多方面からの客観的な視点を持つ事が大切だと感じました。
30分間のレクチャーを受けた後の質疑応答の時間もとても有意義でした。TCUの学生もNCの学生も積極的に質問し、帰る時間が来ても尚、個人的に質問をしに行くなど、とても高いモチベーションで参加していました。また帰り道でも、今日のレクチャーについて意見交換をし合い素晴らしいディスカッションをすることが出来ました。しかし、今回のレクチャーを聞いて我々が考えた、運営団体が行っている活動についての改善点を指摘しても、それは我々先進国の立場からの視点であって、現地の人々にとって必ずしも有効的な指摘ではないと思います。我々が考えた良い点、改善点をNCの学生と共有し、そして日本に持ち帰る事によって、今後の研究や学習に役立つと思いました。


サーヴェイ

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 更に午後から行ったChitrasari村では、グループに分かれて現地の家庭を訪問し、事前学習で改善を重ねたindicators について調査しました。この調査から私たちが学んだことを以下に3つ書きたい思います。

まず最初にほとんどの女性住民が、こどもたちを預ける託児所のような施設を必要としていることです。この村では拡大家族が多く、子供の数も多いので、主が仕事に出かけていると妻である女性たちは子供たちの世話をしなければなりません。このことから女性が独立して仕事を持つ機会があまりないことがわかりました。訪ねた家庭の女性は、自分自身仕事をしてお金を稼ぎたいと思っていましたが、『そういう意見を言う場がない』、『他の家庭とのコミュニケーションの場・意見交換の場がない』というのもまた現実問題として浮き上がってきました。コミュニケーションの場を設けることで、この問題だけではなく、予期せぬ自然災害の時にお互い助け合ったり支え合ったりできるし、結束力も向上すると思います。

次に私たちは客観的な立場から今日得たデータを冷静に判断しなければならないことを学びました。なぜなら、ある高齢者の女性は外でわたしたちと一緒に調査をすることをためらいました。このことから推測できることは、彼女がコミュニティー内で社会的に劣等感を感じていることです。またある一方で18歳の学生の女性はコミュニティー内で差別はこれ以上ないと言及していました。つまり、私たちは同じ内容について質問しているにもかかわらず、全く反対の回答を得たのです。同じコミュニティー内に住んでいても個人の意見に多様性があるのです。これは個人の問題ではなくコミュニティー全体の問題であると思います。私たちは考察を深めなければいけません。

最後に、家庭を訪問したときに大切なことは、回答者が安心して答えられるような心地のよい雰囲気を作り出すことです。NCの学生から学んだことですが、彼らは良い意味で婉曲な言い回しを使い、回答者がおちついていられるような環境を作ることに努めていました。このことは回答者の答えを最大限に引き出す上でとても重要なポイントだと感じました。



未来へ向けて

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 2週間弱の期間中のたった1日ではありますが、今日学んだこと、感じたことはたくさんありました。その学んだこと、感じたことを『良かった!楽しかった!』で終わらせるのではなく、明日、明後日に繋げていく事が大切だと感じました。今日の失敗は明日に生かすのです。生かさなければならないのです。我々が思い描く未来のために。